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特集 脊椎脊髄疾患に対する分類・評価法
第10章 脊髄変性・炎症
多発性硬化症の診断基準
The Diagnostic Criteria of Multiple Sclerosis
三須 建郎
1
Tatsuo MISU
1
1東北大学病院脳神経内科
1Department of Neurology, Tohoku University Hospital
キーワード:
多発性硬化症
,
multiple sclerosis
,
空間的・時間的多発性
,
dissemination in space and time
,
マクドナルド基準
,
McDonald's criteria
Keyword:
多発性硬化症
,
multiple sclerosis
,
空間的・時間的多発性
,
dissemination in space and time
,
マクドナルド基準
,
McDonald's criteria
pp.504-508
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201405
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背景
多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は,脳や脊髄に繰り返し炎症性脱髄巣が生じ,再発と寛解を繰り返しながら進行する特徴がある.従来は臨床的な再発をもとに多発性を診断するPoserの診断基準7)が用いられていたが,MRIの普及によりMRI上での時間的・空間的多発性から診断するMcDonaldの診断基準3)が2001年に発表され,2005年,2010年と改訂されMSの診断に広く使われるようになった5,6).MSは従来より厚生労働省が指定する特定疾患であるが,2015年以降に大幅に指定難病制度が変更され,それに伴ってMSの診断基準も改変された.本邦におけるMS診断基準は2015年に2010年の改訂版McDonald診断基準をもとに作成され,厚生労働省「エビデンスに基づいた神経免疫疾患の早期診断基準・重症度分類・治療アルゴリズムの確立に関する研究」班によって一部改変されて発表された.この診断基準を理解しておくことは,MSの診断のみならず病態を理解するうえでも大変有用と思われる.また,McDonald診断基準2017では,初発MSが想定されるclinically isolated syndrome(CIS)においてオリゴクローナルバンドの重要性が増すこととなった9).本稿では,その本邦と最新のMcDonald診断基準を中心に概説する.その特異な疾患の理解に少しでもお役立ていただければ幸いである.
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