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特集 脊柱靭帯骨化症UP TO DATE
進行性骨化性線維異形成症に関する臨床研究
Clinical Research on Fibrodysplasia Ossificans Progressiva
芳賀 信彦
1
,
中島 康晴
2
,
鬼頭 浩史
3
,
片桐 岳信
4
,
神薗 淳司
5
,
西條 英人
6
Nobuhiko HAGA
1
,
Yasuharu NAKASHIMA
2
,
Hiroshi KITOH
3
,
Takenobu KATAGIRI
4
,
Junji KAMIZONO
5
,
Hideto SAIJO
6
1東京大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学
2九州大学医学研究院整形外科学
3あいち小児保健医療総合センター整形外科
4埼玉医科大学ゲノム医学研究センター病態生理部門
5北九州市立八幡病院小児救急・小児総合医療センター
6東京大学医学部附属病院口腔顎顔面外科・矯正歯科
1Department of Rehabilitation Medicine, The University of Tokyo
キーワード:
進行性骨化性線維異形成症
,
fibrodysplasia ossificans progressiva
,
異所性骨化
,
heterotopic ossification
,
母趾変形
,
great toe deformity
Keyword:
進行性骨化性線維異形成症
,
fibrodysplasia ossificans progressiva
,
異所性骨化
,
heterotopic ossification
,
母趾変形
,
great toe deformity
pp.145-150
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201315
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進行性骨化性線維異形成症とは
進行性骨化性線維異形成症(fibrodysplasia ossificans progressiva:FOP)は進行性の軟部組織骨化と母趾の変形・短縮を示すきわめてまれな骨系統疾患で,かつては進行性骨化性筋炎と呼ばれていた.軟部組織の異所性骨化は骨格筋,筋膜,腱,靭帯に生じ,平滑筋や心筋,横隔膜には骨化を生じないとされている.異所性骨化により四肢の関節拘縮,脊柱の可動性低下と変形,さらに開口障害を生じる.
FOPと思われる患者は17世紀から海外より散発的に報告されてきた.日本人患者の最初の報告は九州大学外科の後藤七郎によるドイツ語の論文で,4歳男児についてX線所見,病理組織所見を含め詳細に記述されている2).FOPの原因は長らく不明であったが,2006年にペンシルバニア大学のグループが本疾患の家系の連鎖解析を通じ,BMP受容体の一部を構成するタンパクであるactivin receptor type-1(ACVR1,別名ALK2)をコードする遺伝子にc.617G>A(p.R206H)のヘテロ変異を見出した17).これを契機に本疾患で異所性骨化を生じる分子メカニズムの研究が進み,創薬研究につながってきている8).
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