Japanese
English
特集 頸椎症性脊髄症に対する手術治療戦略
頸髄症の手術適応の時期(拡散テンソル投射路撮影)
Surgical Timing of Cervical Spondylotic Myelopathy Evaluated by Diffusion Tensor Tractgraphy
辻 収彦
1
,
藤吉 兼浩
2
,
許斐 恒彦
2
,
名越 慈人
1
,
渡辺 航太
1
,
松本 守雄
1
,
中村 雅也
1
Osahiko TSUJI
1
,
Kanehiro FUJIYOSHI
2
,
Tsunehiko KONOMI
2
,
Narihito NAGOSHI
1
,
Kota WATANABE
1
,
Morio MATSUMOTO
1
,
Masaya NAKAMURA
1
1慶應義塾大学整形外科学教室
2独立行政法人国立病院機構村山医療センター整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Keio University School of Medicine
キーワード:
拡散テンソルトラクトグラフィー
,
diffusion tensor tractography
,
圧迫性脊髄症
,
compressive myelopathy
,
手術時期
,
surgical timing
Keyword:
拡散テンソルトラクトグラフィー
,
diffusion tensor tractography
,
圧迫性脊髄症
,
compressive myelopathy
,
手術時期
,
surgical timing
pp.975-981
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201248
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はじめに
脊髄の白質において,長軸方向に走行する神経軸索など一定の方向性を有する生体構造の中では水分子の拡散が制限されている.この制限構造に着目し,水分子の拡散異方性を捉えようとする磁気共鳴像を拡散テンソルイメージング(diffusion tensor imaging)といい,さらに,拡散異方性を追跡することにより白質神経線維の走行を描出した画像を拡散テンソルトラクトグラフィ(diffusion tensor〔fiber〕tractography:DTT)という.
われわれはこれまでに,サルを用いた動物実験によって正常脊髄および損傷脊髄におけるDTT像と組織学的裏づけ,ならびに運動機能との相関について確認してきた.さらに,MRI機器の進歩に伴い,より小型動物であるマウス(脊柱靭帯骨化モデルマウス)の脊髄においてもDTT撮像を行い,その臨床的意義について検証を行ってきた.これらの動物実験でのデータをもとに,実臨床において圧迫性頸髄症(頸椎症性脊髄症および後縦靭帯骨化症)症例に対してDTTを撮像することに成功している.本稿では,DTTデータからみた頸髄症の手術適応の時期に関して概説する.
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