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特集 脊髄再生
HGFを用いた急性期脊髄損傷治療—治験開始までの道のりと今後の展望
Intrathecal Administration of Recombinant Human Hepatocyte Growth Factor for Acute Spinal Cord Injury:Road from Bench to Clinical Trial and Future Perspective
北村 和也
1
,
名越 慈人
2
,
辻 収彦
2
,
渡辺 航太
2
,
福田 健太郎
1
,
松本 守雄
2
,
岡野 栄之
3
,
中村 雅也
2
Kazuya KITAMURA
1
,
Narihito NAGOSHI
2
,
Osahiko TSUJI
2
,
Kota WATANABE
2
,
Kentaro FUKUDA
1
,
Morio MATSUMOTO
2
,
Hideyuki OKANO
3
,
Masaya NAKAMURA
2
1済生会横浜市東部病院整形外科
2慶應義塾大学医学部整形外科学教室
3慶應義塾大学医学部生理学教室
1Department of Orthopedic Surgery, Saiseikai Yokohama Tobu Hospital
キーワード:
肝細胞増殖因子
,
hepatocyte growth factor
,
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
治験
,
clinical trial
Keyword:
肝細胞増殖因子
,
hepatocyte growth factor
,
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
治験
,
clinical trial
pp.545-551
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200892
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はじめに
脊髄損傷治療の1つの柱である細胞移植療法は,神経栄養作用に加えて,自身が損傷により失われた細胞に置き換わり神経回路の再構築に寄与することができるという利点を有するが,その至適な移植時期は二次損傷の炎症が沈静化した亜急性期以降であろうとされている19).一方で,もう1つの柱である神経栄養因子などの薬物療法は,受傷後すぐに搬送されてきた患者さんに対して「いつでも・どこでも・だれにでも」,二次損傷をターゲットとして超急性期から治療を開始できるという大きな利点がある.しかしながら,臨床で実用化されている唯一の急性期治療法であるステロイド大量療法も,その治療効果が近年疑問視されてきており2,7,11,16),American Association of Neurological Surgeons(AANS)のガイドラインにおいても2013年に“not recommended”となるなど,代替する安全かつ有効な治療法の策定は急務といえる.そこでわれわれは,肝臓をはじめとするさまざまな実質臓器の組織再生因子であると同時に,中枢神経系においても血管新生作用,神経栄養作用を有する肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)5,20,21)に注目した.
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