Japanese
English
特集 C5麻痺の今
C5麻痺の診断と予測—拡散テンソル投射路撮影による解析
Diffusion Tensor Imaging Analysis of Post-operative C5 Palsy
辻 収彦
1
,
高野 盛登
2
,
藤吉 兼浩
3
,
石井 賢
1
,
松本 守雄
1
,
中村 雅也
1
Osahiko TSUJI
1
,
Morito TAKANO
2
,
Kanehiro FUJIYOSHI
3
,
Ken ISHII
1
,
Morio MATSUMOTO
1
,
Masaya NAKAMURA
1
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
2北里大学北里研究所病院整形外科
3国立病院機構村山医療センター整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Keio University School of Medicine
キーワード:
C5麻痺(C5 palsy)
,
MRI
,
拡散テンソルトラクトグラフィー(diffusion tensor tractography)
Keyword:
C5麻痺(C5 palsy)
,
MRI
,
拡散テンソルトラクトグラフィー(diffusion tensor tractography)
pp.199-203
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200570
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はじめに
頸椎症性脊髄症および頸椎後縦靭帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament:OPLL)に対する後方除圧術(椎弓形成術)の良好かつ安定した長期成績については衆目の一致するところであるが1,6),軸性疼痛8),segmental instability18),C5麻痺などの術後合併症に留意する必要がある10,14,20).特にC5麻痺は,発生頻度が5%前後と高いにもかかわらず,その成因に関しては,脊髄障害や脊髄の後方移動に伴う神経根障害などが推測されているが,いまだ詳細な病態は明らかになっていない5).
一方,画像診断技術は飛躍的に進歩している.生体組織における拡散異方性を捉えようとする磁気共鳴像を拡散テンソルMRIまたは拡散テンソルイメージング(diffusion tensor imaging:DTI)といい,さらに,拡散異方性を追跡することにより白質神経線維の走行を描出した画像を拡散テンソル投射路撮影(diffusion tensor tractography:DTT)という.われわれは,DTTに関する基礎的検討を重ね,その有用性を基礎および臨床研究で報告し3,9,13,17),現在ではさまざまな脊髄疾患における臨床応用を行っている.本稿では,DTTの基本的原理,臨床における有用性,特にC5麻痺を生じた症例の術前後のDTT解析結果を検討した結果について概説したい.
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