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海外の動向
椎間板置換術の国内導入を推進したいサークルの中では,椎間板置換術は世界標準として利用の勢いが増加しているように伝える向きもあるが,実は比較的出荷量が増加している米国でさえも,頸椎前方手術における椎間板置換術の利用は1.2%にすぎない8).本邦導入のための委員会の要請により企業より提供された利用概数データで諸外国での使用状況をみると,米国では2012年約7,000件に対して2016年12,000件と伸びているが,欧州において,ドイツでは4,000件弱の数字が5年間継続して変わらず,フランスでは逆に減少傾向にあり年間500件程度,また英国では年1,000件程度であるが5年間に少し減少している.また,韓国では2012年当初は3,500件以上利用されていたが2016年には2,500件程度に低下している.さらに,前方固定における椎間板置換術の比率を2015年のデータでみると,米国では4.3%,英国では17.5%,フランス4.3%,ドイツ15.5%,韓国19.6%,中国では7.5%程度と報告されている(製造企業データ).椎間板置換術の経験が一通り行き渡って成熟したこれらの地域では,合併症や中期的に生じる諸問題,異所性骨化,椎間関節,関節間孔周辺の変性などの問題もよく認識されてきており,反省期にあるのが実情である3).われわれも,そうした議論,報告を学会交流や論文で傍らからつぶさに見聞してきたところである.米国,中国以外の諸外国では販売件数が伸び悩んでいるか,あるいはすでに減少を始めており,米国でも頸椎前方手術の件数全体が増えているのでその中での比率としてはさほど増えていない.また,それ以外のいずれの国においても,頸椎前方手術の中でも椎間板置換術はごく一部に留まるマイノリティであるといえる.
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