連載 生殖補助医療 “技術”がもたらした現実と未来⑧
生殖技術の公的規制―諸外国の状況
橳島 次郎
1
1三菱化学生命科学研究所社会生命科学研究室
pp.345-348
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100509
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生殖技術をめぐる世界の動向
1978年にイギリスで世界初の体外受精児が誕生して以後,1980年代に入ってヨーロッパ主要国では,不妊治療の現場で普及し始めた生殖技術の法的規制の検討が始まった。1984年にはイギリス,85年にはドイツ,88年にはフランスで,のちの立法の基礎になる政府委員会報告書が出され,それと前後して専門医師団体の取り組みも進んだ。その結果,90年代には各国で立法が実現した(90年にイギリスとドイツ,92年オーストリア,94年フランス,97年デンマーク,98-2001年スイス,88-2002年スウェーデン)。
規制の内容は国による違いが大きく,ドイツ語圏諸国のように厳しい禁止的規制をとる国もあれば,イギリスのように行政機関の審査に委ねる比較的リベラルな規制の国もある。フランスや北欧諸国などはその中間で,条件づけを狭くして慎重な規制を敷いている。
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