Japanese
English
綜説
人工弁と置換術後の諸問題
Prosthetic Heart Valves
小松 作蔵
1
,
和田 寿郎
1
Sakuzo Komatsu
1
,
Juro Wada
1
1札幌医科大学胸部外科学教室
1Department of Thoracic & Cardiovascular Surgery, Sapporo Medical College and Hospital
pp.675-683
発行日 1969年8月15日
Published Date 1969/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202054
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はじめに
心臓の働きがポンプの作用を営み,心臓弁は受動的な一方通行弁である以上,器質的心疾患に対する根治的治療としては外科療法が唯一の手段であるとの考えから,各種疾患に対して種々の手術方法が検討され,おこなわれてきた。弁膜疾患に対する人工弁の臨床応用は,1951年Hufnagelが大動脈弁閉鎖不全症の患者に対し,下行大動脈にプラスチックのボール弁を挿入したのにはじまり,その後は本来の弁口部への移植を目的とした各種人工弁が研究,開発されてきた。
その後,解剖学的模倣のflexible leaflet弁をへて,1960年Harkenが大動脈弁に,同年秋にStarrが僧帽弁に,いわゆるcaged ball弁を置換し,成功して以来,これら人工弁による弁充全置換術は世界的に広まり,約10年をへた今日では,さらに多くの代用弁の開発,研究ともあいまって,手技的にも確立され,弁膜疾患外科治療に不可欠なものにまで発展した。
今回はこれら開発された各種人工弁と,これによる弁置換術についてその現況を述べるとともに,弁置換術後に問題となっている,術後塞栓症,人工弁の遠隔変化および術後の血行動態などに焦点をむけて,自験および世界の趨勢より論じてみたい。
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