特集 ついに始まった頸椎人工椎間板置換術
特集にあたって
谷 諭
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科
pp.897
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201227
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幕末の思想家である吉田松陰が士規七則の中で述べている「読書尚友」という言葉があります.読書によって優れた人物の具体的な事例を知ることの大切さを説いていると最近知りました.同じことではないですが,医療の世界も過去の経験を理解することでその進歩があるわけで,先人の経験を知らずには同じ過ちを繰り返し,同じレベルに留まってしまうことになりかねません.
昨年から頸椎人工椎間板の使用が可能になったわれわれですが,すでに関節外科の領域では実用化されてから半世紀以上の歴史があり,それを知らずして「新しいもの」を使うことはまことに慎まなければならないと思っていました.その思いから,この特集では,飯田寛和先生に特別にお願いして人工関節の歴史を試行錯誤の段階から紹介していただきました.また,学会を執り行う直前でお忙しい中,根尾昌志先生にも腰椎人工椎間板の歴史を踏まえたレビューをいただけ,大変嬉しく思っています.さらに,このような歴史を背景に,産官学の連携を慎重に図りながら本邦導入のまとめ役をしていただいた吉井俊貴先生にその経緯を紹介していただきました.以上のような解説をお読みいただき,本邦への人工椎間板導入を是非に確認していただければと思います.
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