特集 脊椎手術体位の工夫—周術期合併症を避けるため
特集にあたって
谷 諭
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科
pp.963
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200734
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人間は通常,睡眠中に20回程度寝返りを打つそうです.つまり,同じ姿勢のままでは人間はいられないわけです.全身麻酔下の患者さんとて,かような生理的欲求・要求は継続しているはずですが,われわれ外科医は手術に夢中になりがちで,なかば手術中はお構いなしの状況です.特に脊椎手術は非生理的な伏臥位などの体位で長時間手術になることが多く,それに関連する合併症にわれわれはまれならず遭遇してしまいます.
このような問題は,通常の手術成績には反映されない,あるいは,前面に出て注目されることが多くないものでありました.しかし,近年,医療の質の向上の観点からは,たとえば手術体位に関連した褥瘡はもはや医療機関の質の良し悪しの指標になるとされており,これが起きればその医療機関の恥となります.さらに,褥瘡の程度や場所によっては,あるいは末梢神経障害,舌の腫脹,眼球合併症などにより,医療過誤として扱われることもあり,訴訟の対象にもなり得ます.
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