特集 脊椎脊髄手術 術中・術後出血をいかに減らすか!
特集にあたって
高橋 敏行
1
1藤枝平成記念病院脊髄脊椎疾患治療センター
pp.599
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202371
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脊椎脊髄手術の術中出血はいかに手術手技が発展しようとも皆無にはできず,術中予想を上回る出血に悩まされることもまれではありません.また,手術終了時に十分止血を確認し,術後ドレージを留置しても,一定の頻度で術後血腫に伴う有害事象も生じます.さらに昨今,高齢者が手術の対象となることが多く,併存疾患により抗血小板薬,抗凝固薬を使用されている症例も増加しており,出血トラブル回避と虚血性病変発症予防の両立に苦労する場合も多いかと思われます.このような中,手術の低侵襲化を含め,できるだけ術中出血を減らすことは,患者バイタルを安定させ,良好な術野を維持し,術後血腫のリスクを低減させます.また,輸血に関連する合併症を減少させ,社会経済的問題を改善することにも役立ちます.
本稿では,脊椎脊髄手術の術中術後出血の現状を把握し,ハイリスク症例に対する輸血や自己血回収装置の使用状況,手術出血量を最小限にする工夫を説明いただきました.内視鏡,顕微鏡,外視鏡など手術支援機器の活用や術者の熟練度が術中術後出血にどの程度の影響を与えるかについても記載いただいております.そのほか,抗血小板薬,抗凝固薬使用例の周術期管理,術中高額止血剤の適正使用,術後血腫の予防や対応など,諸問題について執筆いただきました.
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