特集 これだけは避けたい! 脊椎脊髄手術の重篤な合併症とその対策
特集にあたって
高橋 敏行
1
1藤枝平成記念病院脊髄脊椎疾患治療センター
pp.117
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120380030117
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脊椎脊髄手術や麻酔を含めた周術期管理の進歩は目覚ましく,一般的な手術が無事に終わることはもちろん,高難度のさまざまな病態を伴う症例においても手術による対応が可能となってきています.しかしながら,汎用化された手術方法でも,ときとして予想外の重篤な合併症のリスクは潜んでおり,また,高難度手術ではどれだけ熟練した術者が執刀しても致命的あるいは対処が難しい合併症が生じる可能性があります.本特集は,遭遇すべきではない脊椎脊髄手術の重篤な合併症をいかに避けるか,また,もしも生じてしまった場合に,術中や術後にどのように対処すべきかをエキスパートの先生方よりご教授いただきたく,企画しました.
頸椎前方手術や経皮的椎体形成術,腰椎椎間板ヘルニア摘出術はかねてより多くの症例に行われており,腰椎側方固定術も低侵襲化により標準的な外科治療法となっています.また,不慮の硬膜損傷も含め脊椎脊髄疾患手術に伴う髄液漏は少ないながらも一定の頻度で生じます.日常的な手術や遭遇する機会の多い有害事象であっても大きな落とし穴があることを決して忘れてはなりません.術中の判断や術後スタッフへの指示,ドレーンの管理などが生命予後の明暗を分ける可能性もあります.頭蓋頸椎移行部固定術や胸椎後縦靭帯骨化症手術などの高難度手術ではさらに合併症予防に注意を払わなければならず,繊細な手術と術後管理が必要となります.さらに,不測の事態が生じた場合の事後対応についても執筆いただいています.

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