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はじめに
末梢神経障害(ニューロパチー)はさまざまな原因で生じることが知られており,運動神経・感覚神経・自律神経の障害の程度や,障害される神経線維の径(大径有髄線維,小径有髄線維,無髄線維など)や神経細胞体の大きさの選択性に応じて多様な症候を呈する14,15,20).ニューロパチーでみられる障害分布としては,左右対称で靴下手袋型の感覚障害をきたす多発ニューロパチーが有名で,末梢神経,特に長い神経の末端部からの障害に伴いしびれなどの症状が両下肢,特につま先から始まり,下腿部から大腿部へと範囲が広がるパターンを呈する.多発ニューロパチーが進行すると,両手先にもしびれが出現して上腕部に広がり,重症になると胸腹部の正中にも縦長で島状の感覚障害がみられるようになる.一方,多発ニューロパチーのような神経の長さ依存性の障害分布をきたさず,単一神経の障害によってその支配領域に限局した症状が出現する単ニューロパチーや,複数の神経領域で障害が生じる多発性単ニューロパチーのような障害分布を呈するニューロパチー患者も,日常診療の現場では遭遇する機会が多い.単ニューロパチーや多発性単ニューロパチーでは必ずしも長さ依存性の障害分布を呈さず,四肢と比較して短い神経が支配している体幹部のしびれや痛みをきたす頻度が高くなる.身近で遭遇することの多い疾患として帯状疱疹があり,肋間神経などの特定の神経の支配領域に一致した痛みに続いて水疱形成を伴う皮疹が出現する.帯状疱疹では感覚障害の領域と一致した皮疹がみられることから診断が比較的容易であるが,しびれ・痛みなどの症状が体幹部に出現するニューロパチーでは脊髄障害との鑑別が必要であることと,ニューロパチー自体の原因が多岐にわたることから診断が困難な場合も多い.
本稿では,体幹部の症状が出現しやすいニューロパチーについて概説する.
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