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特集 神経生理検査—脊椎脊髄疾患とその鑑別疾患への応用
反復神経刺激検査(repetitive nerve stimulation:RNS)—特にALSと頸椎症の鑑別のために
Repetitive Nerve Stimulation: New Diagnosis Tool for ALS
畑中 裕己
1
Yuki HATANAKA
1
1帝京大学神経内科・神経筋電気診断センター
1Department of Neurology, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
反復神経刺激検査
,
repetitive nerve stimulation
,
RNS
,
重症筋無力症
,
myasthenia gravis
,
MG
,
筋萎縮性側索硬化症
,
amyotrophic lateral sclerosis
Keyword:
反復神経刺激検査
,
repetitive nerve stimulation
,
RNS
,
重症筋無力症
,
myasthenia gravis
,
MG
,
筋萎縮性側索硬化症
,
amyotrophic lateral sclerosis
pp.541-546
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201140
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はじめに
筋萎縮症を診察するときに,鑑別診断に列挙される筋萎縮性側索硬化症(amytrophic lateral sclerosis:ALS)と頸椎症性筋萎縮症(cervical spondylotic amyotrophy:CSA)の最も重要な検査は,針筋電図の所見であることに疑いはない.しかし,われわれの筋電図外来に上肢の筋力低下,筋萎縮の精査依頼をいただいたときには,詳細な神経学的診察・MMTを測定した後に,まずは反復神経刺激検査(repetitive nerve stimulation:RNS)を施行する.その理由は,針よりは侵襲性が少ないこと,RNSはALSにおける感度が高いことの2つであり,RNSは針筋電図前の検査の見積もりといった意味合いがある.初診の上肢筋力低下に対する電気生理検査において,針筋電図検査の前にルーチンにRNSを取り入れて援用していることを紹介する.
RNSは,最初の検査対象が重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)であったため,教科書内のMGの項で必ず記載され,いつしか「RNSイコールMG」という先入観が定着している.しかし,RNSは神経筋接合部関連の異常検出をするだけの検査であり,疾患特異性としてはMG以外にも各疾患で異常を呈することを,われわれは啓蒙してきた5,6)(表 1).特に,ALSにおける異常検出率の高さは,MGの感度を上回るため,われわれはALSの針筋電図検査前にRNSをルーチンとして取り入れるようになった.
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