Nomade
椎間孔狭窄にもっともっと目を向けよう
山崎 昭義
1
1新潟中央病院整形外科脊椎・脊髄外科センター
pp.1031-1032
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201009
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頸椎であれば頸髄,腰椎であれば馬尾と,脊柱管内の神経が日常診療でも臨床研究でも花形として今まで注目を集めてきました.しかし,椎間孔内病変は果たしてどうでしょうか? 頸椎,腰椎ともに神経根がその中に存在するわけですが,頸髄は中枢神経である一方,神経根は末梢神経ですので,どうしても軽くみられる傾向があります.腰椎でも同様に,たとえ椎間孔は狭くとも,発症しないことが多いとみられてきているようです.しかし,特にL5/S1では,L5椎弓根の幅が最大であり,しかもL5根神経節の高さが最大であるため,椎間孔が狭くなりやすく,またさらに外側にあるfar out(L5横突起と仙骨翼の間にできる空間)の狭窄もあり得ます.
私が新潟大学整形外科学教室の脊椎班に入った1991年頃は,CTといえば5mm sliceの水平断画像しかなく,冠状断や矢状断画像,ましてや3D-reconstruction画像も存在せず,椎間孔はまさにMacNabがいうところのhidden zone(1971年)そのもので,その狭窄自体も脊柱管内病変に比べれば非常にまれな存在とみなされていました.脊髄造影では造影剤の入っていかない場所であるため,椎間板造影や神経根像影を駆使して,何とか椎間孔内の病態の本質に迫ろうと努力していましたが,診断に苦慮していました.そのうえ,積極的に椎間孔病変を証明できなければ,ヒステリー,psychosomatic disorder(PSD),詐病,気ちがいなどの診断のもとに闇から闇に葬られていた時代でした.
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