ひろば
産業衛生面にもっと目を向けよ
山下 辰雄
1
1尼崎市立衛生研究所
pp.39
発行日 1967年1月15日
Published Date 1967/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203400
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保健所で公衆衛生の実務に携わっている者にとって,その時々の公衆衛生上の問題について相当深い知識を必要とする。今までにも本誌でこういったものの特集もなされたのであるが,学問技術の進歩のはげしい現在,さらにこれを重要視してほしいものである。
私が勤務する尼崎市は人口50万余りの政令市で保健所が4つある。自分達の市が公衆衛生上で他都市に比べどのような位置におかれているかを知ることは,単に公衆衛生関係者に必要なだけでなく,それ以外の一般の市政に関係している者に対する教育の手段として大切なことである。そしてこのような政令市は府県保健所の管轄地域といろいろの点で趣を異にし,指定都市のような財政規模の大きい都市とも異なる点が多い。政令市の公衆衛生状態の鳥瞰できるような特集号でもつくっていただきたい。私が前に勤務していた尼崎市東保健所管内には,特に中・小工場が多く,しかもそれらの工場の衛生管理の状態は良好とはいえず,中にはまったく放置された状態といった方がよいような所も多い。そしてこれらの衛生管理に関係する人達は,産業衛生の専門家でない場合がほとんどである。保健所の職員もその例外でない。産業衛生面に関する本誌の内容の充実もはかってほしいと思う。
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