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はじめに
近年,脊椎脊髄手術においても,コンピュータ支援技術が発達し,臨床に応用されてきている.コンピュータ支援手術補助技術の代表的なものとして,ナビゲーションシステムがある.ナビゲーションシステムとは,手術中に操作している手術器具と実際の患者の骨との3次元的位置関係をモニター上に表示する技術である.
ナビゲーションの基本的な構造は,位置感知システムと高速画像処理を行えるワークステーションからなる.位置感知システムでは,対象とする骨と手術器具の各々の3次元的位置情報が,光学方式のステレオカメラによって認識される.リファレンスフレーム(3〜4個のマーカーがついており,ステレオカメラによってその空間的位置が認識できる機器)を術野の骨に取りつけることによって,コンピュータに患者の骨の位置情報が伝えられる.また,用いる手術機器(ポインター,オール,プローベ,タップ,スクリュードライバーなど)にもマーカーがついており,機器の先端の位置と3次元的方向をステレオカメラが捉えることができる.
最も多く用いられているものは,術前CTベースナビゲーションであり,術前に撮影したCT画像をナビゲーションシステムに取り込み,術野において実際の骨表面の20〜30カ所のポイントと照合(ポイントレジストレーション)させることで,モニター上で術前CT画像上に手術器具の位置を示すことができる.
その後,術中にCTライク画像が撮影できる190度可動性C-アームのARCADIS Orbic 3Dや360度可動性のO-armが出現した.これらを用いると,撮影時にナビゲーションのステレオカメラがリファレンスフレームと同時に撮影機器そのものの位置も把握することによって,自動的にレジストレーションが行われる.これにより,ポイントレジストレーションなしでのナビゲーション下手術が可能となった.
さらに,CT撮像装置そのものが手術室に備えつけられたハイブリッド手術室が登場し,より高画質の術中画像でのナビゲーション下手術が可能となった.
われわれの施設でも,2016年に新手術棟が完成し,ハイブリッドCT手術室(SIEMENS社128列SOMATOM Definition AS+Sliding Gantry)が使用可能となった.このハイブリッド手術室では術中CTをナビゲーションシステム(Brainlab社製のCurveシングルディスプレイ ナビゲーションステーション)と連動させたナビゲーション下脊椎手術が可能である.
ここでは,筆者が経験したこれまでのハイブリッド手術室における脊椎手術の経験について述べる.
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