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特集 脊椎脊髄手術の安全性を高める予防と対策
第2章 各論
4.各種疾患,治療法について
アテトーゼ型脳性麻痺を伴う頸髄症の問題点とその対応
Treatment for Cervical Myelopathy Associated with Athetoid Cerebral Palsy
中前 稔生
1
,
田中 信弘
1
Toshio NAKAMAE
1
,
Nobuhiro TANAKA
1
1広島大学大学院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Hiroshima University
キーワード:
アテトーゼ型脳性麻痺
,
athetoid cerebral palsy
,
頸髄症
,
cervical myelopathy
,
脊椎後方固定術
,
posterior spinal fusion
Keyword:
アテトーゼ型脳性麻痺
,
athetoid cerebral palsy
,
頸髄症
,
cervical myelopathy
,
脊椎後方固定術
,
posterior spinal fusion
pp.407-411
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200859
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はじめに
脳性麻痺は,受胎から生後4週までの間に何らかの原因で生じた脳の障害による運動機能障害の総称である.中でもアテトーゼ型脳性麻痺は,体幹および四肢の共同筋・拮抗筋に不随意な収縮力の変動が起こるために,姿勢保持や四肢運動が障害されるものである.アテトーゼ型の脳性麻痺患者では,頸部の筋緊張や不随意運動により早期から頸椎の変性が進行し,脊柱管の狭窄とともに頸椎の不安定性をきたし,比較的若年から頸髄症を発症しやすい1,13).Andersonら1)は,アテトーゼ型脳性麻痺に伴う頸髄症の病態について初めて報告し,本邦でも中原ら12),三澤ら8)がアテトーゼ型脳性麻痺に合併した頸髄症をアテトーゼ頸髄症と称し,その治療法などについて報告している.アテトーゼ頸髄症患者では,いったん脊髄症状が発症すると脳性麻痺による筋緊張や不随意運動も相乗し頸髄症状が進行することが多く,日常生活における活動性低下や精神的抑うつなどの重大な身体精神障害を招来するため,手術介入の時期が重要となる.さらに近年では,脳性麻痺患者の高齢化が顕著になっていることから,アテトーゼ頸髄症に対する手術を行う頻度が多くなっている3).アテトーゼ頸髄症に対してさまざまな手術方法の報告があるが,これまでのところ画一化された手術法はない.本稿では,アテトーゼ頸髄症の問題点とその対応について述べ,われわれの治療成績についても論述する.
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