Japanese
English
特集 頸椎症の特殊な症候学
Brown-Séquard症候群再考
Reconsideration of Brown-Séquard Syndrome
逢坂 麻由子
1
,
園生 雅弘
2
Mayuko OSAKA
1
,
Masahiro SONOO
2
1慶應義塾大学医学部神経内科
2帝京大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Keio University School of Medicine
キーワード:
Brown-Séquard症候群(Brown-Séquard syndrome)
,
脊髄延髄路(spinomedullary tract)
,
同側感覚障害(ipsilateral sensory loss)
Keyword:
Brown-Séquard症候群(Brown-Séquard syndrome)
,
脊髄延髄路(spinomedullary tract)
,
同側感覚障害(ipsilateral sensory loss)
pp.127-132
発行日 2017年2月25日
Published Date 2017/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200550
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Brown-SéquardとBrown-Séquard症候群
Brown-Séquard症候群もしくは脊髄半切症候群は,脊髄の半側もしくは一側の外側が障害された際,特徴的な運動麻痺や感覚障害などを示す症候のことである.この特徴的な症候は感覚伝導路の交差が存在する脊髄でしか生じないものであり,病巣診断に非常に有用である.
この症候群を初めて報告したBrown-Séquardは,1817年にモーリシャスのポートルイスで生まれた.Brown-Séquardは初め詩人か劇作家になろうとしたが失敗し,医学校に入学した12,20).1846年に医学博士を取得したが,この博士論文の主題は脊髄の生理機能についてであり,この論文においてBrown-Séquardは,当時知られていなかった脊髄における感覚伝導路の対側への交差について初めて言及した.われわれがよく知るBrown-Séquard症候群の症候の一部について報告したのが1849年のことである.彼は動物実験において脊髄を半切すると,同側の感覚過敏,対側の感覚(痛覚)脱失もしくは感覚(痛覚)低下が起こると記載した.その後,頸部を刺された船員の典型例の症例報告などを経て,1869年Lancetにおいて,同側の随意運動麻痺,対側の触覚・温痛覚の消失,同側の筋感覚の麻痺などを報告している4,12).Brown-Séquard症候群の症候については,その後Dejerineなどによって詳細にまとめられている(表1)11,12,14).
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