Japanese
English
特集 頸椎症の特殊な症候学
頸椎症と自律神経障害
Cervical Spondylosis and Autonomic Abnormalities
朝比奈 正人
1
Masato ASAHINA
1
1神経内科津田沼
1Neurology Clinic Tsudanuma
キーワード:
自律神経障害(autonomic dysfunction)
,
頸椎症(cervical spondylosis)
,
脊髄(spinal cord)
Keyword:
自律神経障害(autonomic dysfunction)
,
頸椎症(cervical spondylosis)
,
脊髄(spinal cord)
pp.133-138
発行日 2017年2月25日
Published Date 2017/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200551
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はじめに
胸髄には交感神経節前神経,仙髄には副交感神経節前神経(脊髄中枢)が存在し,これらの神経に連絡する経路は頸髄を下行するため,頸髄病変によりこれら下行路が障害されると自律神経障害を呈する.自律神経症候が最も注目される脊髄疾患は脊髄損傷であろう.脊髄損傷の急性期には,血圧低下(脊髄神経原性ショック),尿閉などの排尿障害,便秘・便失禁などの直腸障害,発汗減少などを呈する.また,慢性期にみられるautonomic dysreflexia(膀胱刺激や内臓刺激,体性刺激により高血圧,頭痛,発汗,徐脈などが誘発される発作性の異常)は,脊髄損傷患者のリハビリテーションや介護を行ううえで大きな問題となる.一方,頸椎症は日常臨床で遭遇することの多い疾患であり,脊髄神経根あるいは脊髄の障害により多彩な症候を呈する.頸椎症性脊髄症は自律神経脊髄下行路の障害により自律神経症候を呈するが,関心は低く,研究も少ないのが現状である.本稿では,臨床において脊椎症性脊髄症における自律神経症候に焦点をあて概説する.
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