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特集 脊椎外傷—捻挫から脊髄損傷まで
第3章 特異な病態
強直性脊椎の脊椎損傷
Spinal Injuries Related to Ankylosing Spinal Disorders
河野 修
1
,
芝 啓一郎
1
Osamu KAWANO
1
,
Keiichiro SHIBA
1
1総合せき損センター整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Spinal Injuries Center
キーワード:
強直性脊椎(ankylosing spinal disorder)
,
脊椎損傷(spinal injury)
,
インストゥルメンテーション手術(instrumentation surgery)
Keyword:
強直性脊椎(ankylosing spinal disorder)
,
脊椎損傷(spinal injury)
,
インストゥルメンテーション手術(instrumentation surgery)
pp.421-430
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200363
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はじめに
高齢化社会に伴い,脊椎脊髄損傷においても高齢者の占める割合が増加している.高齢者脊椎外傷が若年者のそれと異なるのは,加齢変性や靭帯骨化,骨粗鬆のような特有の病態を伴った損傷が多くみられることである.高齢者脊椎外傷としては,脊柱管狭窄を伴う非骨傷性頸髄損傷が代表的だが,強直性脊椎骨増殖症に合併した脊椎損傷も増加傾向である.強直した脊椎に脊椎損傷が起こった場合は,その特殊な病態を十分に理解し,特徴を踏まえた治療方針を立てる必要がある.また,高齢者においては全身状態がもともと不良であったり,外傷を契機として一気に全身状態悪化の経過をたどることも珍しくない.治療に際しては,全身状態と脊椎治療のバランスを考えながら最適な治療を選択する必要がある.
脊椎が強直する病態としては,強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis:AS)や強直性脊椎骨増殖症(ankylosing spinal hyperostosis:ASH)が挙げられるが,最近の脊椎インストゥルメンテーション手術の隆盛に伴い,多椎間の脊椎固定術が行われた脊椎もまた強直性脊椎となっていることを忘れてはならない.
強直性脊椎の特徴は脊柱可動性消失と骨脆弱性であるが,ASHや脊椎固定術後の強直性脊椎においては,ところどころに可動性が残存していることも注意せねばならない.
本稿では自験例をもとに,強直性脊椎を背景とした脊椎損傷の特徴,診断,治療について述べる.
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