Japanese
English
特集 上位頸椎部の諸問題
頭蓋頸椎移行部奇形の臨床的検討
Clinical Observation of Congenital Anomaly of the Occipito-cervical Junction
島崎 和久
1
,
正田 悦朗
1
,
原田 俊彦
1
,
中林 幹治
1
,
池田 正則
1
,
藤田 直己
1
,
松田 俊雄
1
,
木村 浩
1
,
広畑 和志
1
Kazuhisa SHIMAZAKI
1
1神戸大学医学部整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Kobe University School of Medicine
キーワード:
頭蓋頸椎移行部奇形
,
congenital anomaly of the occipito-cervical junction
,
頭蓋底陥入
,
basilar impression
,
第2・3頸椎癒合
,
congenital fusion of C2/3
,
環椎後頭骨癒合
,
assimilation of atlas
,
環椎後弓欠損
,
absence of the posterior arch of the atlas
Keyword:
頭蓋頸椎移行部奇形
,
congenital anomaly of the occipito-cervical junction
,
頭蓋底陥入
,
basilar impression
,
第2・3頸椎癒合
,
congenital fusion of C2/3
,
環椎後頭骨癒合
,
assimilation of atlas
,
環椎後弓欠損
,
absence of the posterior arch of the atlas
pp.413-420
発行日 1983年4月25日
Published Date 1983/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906736
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
頭蓋頸椎移行部は発生学的にみると非常に複雑な発生形態であることや,この部で神経管の閉鎖が最も遅れることなどから,種々の奇形が発生しやすい部位である.しかし奇形の存在が必ずしも臨床症状を呈するわけではなく,無症状のまま生涯を終える場合も少なくないが,いったん神経症状を来した症例では,漸次増悪すると言われている19).頭蓋頸椎移行部は整形外科と脳神経外科との境界領域であり,ともすればX線読影に当っても見過ごしやすい部位である.臨床症状も頸部脊髄症状を主体としたり,脳神経症状のみを呈する場合もあり,頭蓋頸椎移行部奇形に対する正しい認識がないために内科的神経疾患や精神疾患として治療を受け,神経症状がかなり進行してから外科的治療を受ける場合も少なくない.従って,我々整形外科医にとっても充分認識しておくべき疾患である.
頭蓋頸椎移行部奇形には表1に示すようなものがあるが,今回は我々の教室における症例をもとに,頭蓋底陥入症,先天性第2・3頸椎癒合(以下C2/3癒合と略す),環椎奇形について,頻度,臨床像,並びにこれらの奇形のもつ臨床的意義について検討した.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.