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放射線科は画像診断,核医学,画像誘導治療,放射線治療の4つを担当している.その中で画像診断,特にCT・MRIの読影が大きなウエイトを占めるが,その数は年々増加している.これは画像診断機器の性能が向上し短時間に広範囲の撮像が可能となったこと,画像診断の進歩により画像診断法が多様化・高度化したこと,医療経済の変化に伴う病院経営への放射線科医の貢献(画像管理加算Ⅱ取得による診療報酬の増加)などが関与している.実際,以前と比べて画像診断の症例数が明らかに増加している.これは放射線科医にとっては診療や病院への貢献ができ喜ばしいことであるが,日常の仕事量が増加し疲弊することにもなる.どこの施設でも放射線科医はこの二面性による悩みを抱えていることが現状であろう.この状態はもう限界に達してきていることは明らかで,ここでその打開策を考えてみたい.
まず,最も重要なこととしてマンパワーを増やさなければならない.さまざまな統計から,本邦の放射線科医は欧米と比べ少なく,1人あたりの読影数は欧米の放射線科医と比べ明らかに多いことが示されている.本邦では放射線科医の絶対数が不足しており,この点を最優先課題として学会を挙げて取り組むべきである.1人でも多く放射線科の道に進んでもらうために,放射線科の指導医は放射線科の魅力を十分にアピールする必要がある.講義などで学生に放射線科は何をやっていると思うと聞くと,ほとんどの学生から「レントゲン」などの答えが返ってくる.放射線科が何をやっているのかまったく認識されておらず,いかに興味が低いかがわかる.学生に対するアピールは将来放射線科を選択してもらうために最も重要と思われ,画像診断,核医学,画像誘導治療,放射線治療が臨床にどのように役立っているかを魅力的に丁寧に教え,興味をもってもらわなければならない.
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