Japanese
English
特集 慢性腰痛(非特異的腰痛)
運動器慢性疼痛に関する疫学調査
Epidemiological Study of Chronic Musculoskeletal Pain in Japan
藤田 順之
1
,
中村 雅也
1
Nobuyuki FUJITA
1
,
Masaya NAKAMURA
1
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Keio University School of Medicine
キーワード:
疫学(epidemiology)
,
慢性疼痛(chronic pain)
,
腰痛(low back pain)
Keyword:
疫学(epidemiology)
,
慢性疼痛(chronic pain)
,
腰痛(low back pain)
pp.21-27
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200277
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はじめに
平成23年(2011年)の厚生労働省の国民生活基礎調査では,頻度の高い自覚症状として,腰痛,肩こり,関節痛,頭痛が上位を占めていることが明らかとなった4).慢性腰痛の85%が,原因の特定できない非特異的腰痛と診断されるように,運動器の慢性疼痛は決して致死的ではないものの,その実態はよくわかっていない.欧米各国での疫学調査では,使用した質問票の相違や慢性疼痛の基準の違いなどによるばらつきはあるものの,慢性疼痛の有症率は23〜35%と報告された1,2,8,10).一方,アジアでの調査では,香港,シンガポールで調査が実施された結果,有症率は9〜11%と欧米と比較して低く9,11),日本での服部ら3)の疫学調査では有症率は13.4%であった.しかしながら,この調査には,頭痛,生理痛,顔面神経痛,帯状疱疹後神経痛なども含まれており,運動器の慢性疼痛に関する詳細な検討はなされていない.そこで,本邦での運動器慢性疼痛に対する今後の対策立案を得るために,われわれは平成22年度(2010年度)〜24年度(2012年度)の3年間,厚生労働科学研究費補助金を得て,「筋骨格系の慢性疼痛にかかわる調査研究」として,臨床医学,公衆衛生,行政施策の観点から,極力バイアスの除去に配慮したデザインにより,全国無作為抽出サンプルに対する疫学調査を実施した.本稿では,慢性腰痛を含む運動器慢性疼痛に対する3年間の調査結果について,年度別に概説する.
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