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特集 臨床現場での脳・脊髄連関
急性頸椎硬膜外血腫による片麻痺—脳卒中類似疾患と血栓溶解療法
Acute Cervical Epidural Hematoma Presenting with Hemiparesis:Stroke Mimics and Thrombolysis
髙井 敬介
1
,
谷口 真
1
Keisuke TAKAI
1
,
Makoto TANIGUCHI
1
1東京都立神経病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Tokyo Metropolitan Neurological Hospital
キーワード:
特発性脊椎硬膜外血腫(spontaneous spinal epidural hematoma)
,
脳卒中類似疾患(stroke mimics)
,
血栓溶解療法(thrombolysis)
Keyword:
特発性脊椎硬膜外血腫(spontaneous spinal epidural hematoma)
,
脳卒中類似疾患(stroke mimics)
,
血栓溶解療法(thrombolysis)
pp.613-621
発行日 2015年7月25日
Published Date 2015/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200169
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はじめに
圧迫性の頸部脊髄症は,頸部脊柱管狭窄症によって引き起こされることが多い17).まれには,脊髄腫瘍によって起こることもある.通常,運動,感覚障害が両側性に認められることが多く,外傷を除けば,緩徐進行性で急性発症はほとんどない.
対して,急性の片麻痺は,脳卒中が原因のことが多い29,45).急性の片麻痺症例においては,頸椎症や腫瘍による圧迫性脊髄症は最初から除外される.しかし,急性頸椎硬膜外血腫は,急性の片麻痺で発症することがある.
もし,急性の片麻痺で発症した急性頸椎硬膜外血腫の患者が,発症早期に救急搬送され,脳画像診断で脳出血が否定されると,脳梗塞症の誤診で血栓溶解療法を受けてしまうリスクがある16).
本報告では,急性頸椎硬膜外血腫の自験例を提示し,文献レビューから血腫の分布,出血源の解剖学的特徴,神経所見と治療について考察する.さらに,日本脳卒中学会の血栓溶解療法ガイドライン(アルテプラーゼ静注療法 適正治療指針)29)の問題点について言及する.
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