Japanese
English
特集 Spinal dysraphism—最近の知見
Spinal dysraphismの合併病態に対する治療
Treatment for Complications Combined with Spinal Dysraphism
田代 弦
1
Yuzuru TASHIRO
1
1静岡県立こども病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Shizuoka Children's Hospital
キーワード:
中枢神経系感染症(infection of central nervous system)
,
脊髄係留症候群(tethered cord syndrome)
,
キアリ2型奇形(Chiari Ⅱ malformation)
Keyword:
中枢神経系感染症(infection of central nervous system)
,
脊髄係留症候群(tethered cord syndrome)
,
キアリ2型奇形(Chiari Ⅱ malformation)
pp.123-131
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200029
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
Spinal dysraphismに合併・併発する病態としては,中枢神経系感染症,脊髄係留症候群,脊髄空洞症,脊柱側弯,さらにChiari奇形・水頭症などが挙げられる.ただし,ここで忘れてはならないのは,決して1つの病態が単独で発生するのではなく,お互いが相互の原因となって合併し,または重なり合って併発してくる関係にあるということである.たとえば,脊髄披裂は皮膚に露出している部分から直達的な中枢神経系感染症を引き起こす可能性があると同時に,同部で脊髄は外皮に固定・係留されている.すなわち,その外科的治療は感染経路の閉鎖・脊髄形成に加えて,係留解除も重要な目的であることを認識していなければならない.また,整復・還納された脊髄形成部分が癒着して,成長に伴って再係留を引き起こしてくる症例が多いので,その予防的対策処置も重要である.すなわち,spinal dysraphismの治療では,異常な形態を整復すると同時に将来合併・併発してくるすべての病態を理解したうえで,その発生に対処した予防的手術としての処置もしておかなければならないのである.
本稿では,当院で経験したそれらの症例を提示しながら,どの時期に,どのように治療するかを提示するとともに,文献での最近の知見などをも交えて解説する.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.