連載 患者の死と向き合うために・第4回
患者の死生観が表出した際の作業療法士のアプローチ—スピリチュアルペイン・社会的苦痛を中心に
縄手 雪恵
1
,
横田 浩輝
2
Yukie Nawate
1
,
Hiroki Yokota
2
1小城市民病院
2聖マリア病院
pp.1090-1093
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203963
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
患者の死生観が表出した際の作業療法アプローチ:スピリチュアルペインを中心に
1.スピリチュアルペインについて
終末期がん患者は,身体的な苦痛のみならず,精神的苦痛,社会的苦痛,スピリチュアルペイン(生の無意味・無価値・空虚等)が存在する.これらは単独で出現するのではなく混在しており,がん患者の痛みは,「全人的な苦痛(Total Pain)」と呼ばれている1).嶋田ら2)は,日本人の終末期がん患者のスピリチュアルペインを,「終末期がん患者が,生命の危機の恐怖や病気の進行による身体機能の衰えに伴い無力感を抱くことによって,生きること・存在すること・苦悩することの意味,死への不安,尊厳の喪失,罪責意識,現実の自己への悲嘆,関係性の喪失,超越的存在への希求等について問い続けざるを得ない苦痛」と定義している.
今回,スピリチュアルペインの軽減と生きる希望を見いだせた事例を経験したため,報告する.なお,ここでの希望とは,「過去の経験に基づいた,自己の存在を支えるものや他者との関係であり,現在,および今後の生き方を支えるもの」という堀の定義3)を用いた.
Copyright © 2024, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.