特集 痛みで困ったとき
スペシャル・アーティクル
スピリチュアルペイン
高宮 有介
1
1昭和大学医学部医学教育推進室
キーワード:
全人的痛み
,
4つの痛み
,
スピリチュアルケア
Keyword:
全人的痛み
,
4つの痛み
,
スピリチュアルケア
pp.1008-1009
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102369
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緩和ケアの基本に全人的痛みがあり,4つの痛みがある.①身体的,②精神的,③社会的,④スピリチュアルペインである.スピリチュアルペインには,宗教的,霊的,哲学的,実存的などさまざまな訳語があるが,どれも一語では言い表せないため,緩和ケア領域ではスピリチュアルぺインとカタカナで呼ばれている.たとえば,宗教的であるが,WHO(1989年)は,多くの人々にとって「生きていること」がもつスピリチュアルな側面には宗教的な因子が含まれているが,スピリチュアルは「宗教的」と同じ意味ではない,としている.
スピリチュアルペインは,特別な人だけにある痛みではなく,すべての人間に内在する痛みである.「自分はなぜ,生まれて,生きて,死んで行くのだろうか.皆に死があるとしたら,自分が生まれてきた意味は何なのだろう,自分が生まれてきた役割は何なのだろう」といった問いかけである.健康な時にも考えるが,死に直面した時に,表在化する痛みである.哲学者の村田は,「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」と定義している1).
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