増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第3章 疾患別 上肢・手の困難事例へのアプローチ—具体的介入例とポイント
8 ALSの上肢・手の機能
渋谷 亮仁
1
,
河津 聡
2
,
植田 友貴
3
Akihito Shibuya
1
,
Satoru Kawatsu
2
,
Tomotaka Ueda
3
1西新潟中央病院
2大阪急性期・総合医療センター
3西九州大学
pp.783-788
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201004
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はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis : ALS)の有病率は10万人に対して7〜11人と見積もられ,全国の患者数は約9,200人といわれる1).ALSを発症し筋力低下が進行すると,上肢機能障害を含むさまざまな障害により日常生活が制限されていくが,それらが誘因となり,患者本人や家族に強い精神的,身体的負担を認めることも少なくない.ALS患者に対する作業療法では,身体機能や日常生活のみならず,精神面や社会面に対しても思慮を巡らせ,医学的知識や福祉用具に関する知識を基に残存機能を活かす工夫や改善が期待される.また,それは進行による患者の変化を見越した対応でなければならない2).特にALS患者にとって潜在的な上肢機能を生活場面で発揮できるようになることは,福祉用具・機器の活用・導入による補完的対応,ひいてはQOLといった活動に連動する重要な視点である3).本稿ではALSを上肢・手の機能という視点から整理し,その具体的な介入ポイントについて臨床視点に立った解説を行う.
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