Japanese
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特集 脊髄損傷と作業療法
回復期リハビリテーション病棟における高齢不全脊髄損傷者への作業療法
Occupational therapy for elderly with incomplete spinal cord injury in comprehensive rehabilitation ward
近藤 麻友
1
,
宮坂 裕之
1
,
平野 哲
2
Mayu Kondo
1
,
Hiroyuki Miyasaka
1
,
Satoshi Hirano
2
1藤田医科大学七栗記念病院
2藤田医科大学
pp.572-578
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203824
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Key Questions
Q1:高齢不全脊髄損傷者の特徴と病態は?
Q2:高齢不全脊髄損傷者への作業療法は?
Q3:回復期リハビリテーション病棟での作業療法士の役割は?
はじめに
日本パラプレジア医学会(現 日本脊髄障害医学会)の1990年代の全国調査では,年代別新規脊髄損傷発生数は若年と高齢にピークをもつと報告されている1).しかし,わが国は超高齢社会であり,近年の調査では,70代がピークであると報告され,高齢者の受傷者が増加している2,3).受傷部位は,頸髄損傷が88.1%を占めており,頸髄損傷が多いのが特徴である2,4).受傷原因は,平地転倒(38.6%),交通事故(20.1%),低所転落(13.7%)の順に多く,若年者が,交通外傷や,転落事故等,大きなエネルギー外力による完全麻痺が多いのに比較して,高齢者は転倒・転落等,比較的小さい外力による不全麻痺が多いことも特徴である2,3).
さらに,主介助者が高齢配偶者となる可能性があり,限られた回復期リハビリテーション病棟の入院期間で,作業療法士がいかにしてADLの介助量を減らしていくかが重要となる.本稿では,高齢不全脊髄損傷者へのリハビリテーションについて症例の紹介を通して説明する.
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