Japanese
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特集 行政の作業療法士の仕事
行政において作業療法士に期待すること
Expectation to the occupational therapists in administration
小山 秀夫
1
Hideo Koyama
1
1社会医療研究所
pp.218-223
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590030218
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Key Questions
Q1:ヘルスプロフェッションと行政との関係とは?
Q2:Administrationと「行政」のニュアンスの差とは?
Q3:技官としての作業療法士の意義とは?
ヘルスケアはグローバル
世界の医療(Healthcare)はグローバルで複雑系ですが,医療政策や制度(Healthcare policy and Management)はローカルだと思います.医療行為である手術や看護の手技は西洋医学を基礎とした国際的標準化が進められてきました.欧米で科学的根拠に基づいたリハビリテーション医学が確立してから1世紀も経過していませんが,処置に関しては国際標準が遵守されています.リハビリテーションは広範な概念で,医学的なもの以外に子どもの成長や学習の障害をサポートするほか,精神的,職業的,家族的,社会的に各種の支援技術体系があるものの,日本独自の体系があるわけではないと考えられます.
一方,世界の医療政策や制度は千差万別といえます.医師はともかく,作業療法士等のリハビリテーション専門職の規定がない国や地方もありますし,医療施設の法的規制がない国もあります.医療費については全額自費か慈善制度等の対応しかない国や地方から,日本のように皆保険制度ですべての国民をカバーしている国まであります.注意しなければならないのは,米国等では州単位,自治体単位で制度に差があることのほうが当然だと考えられていることです.世界で12番目の人口を抱える極東の島国日本は,中央集権的,比較的均一的,民主主義の国だといえますが,世界各国との医療政策や制度の共通点はあまりないと考えたほうが理解しやすいように思います.

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