連載 作業療法を深める・第89回
わかりにくい医学用語を解剖する—比喩と翻訳のねじれ
西嶋 佑太郎
1
Yutaro Nishijima
1
1京都大学大学院人間・環境学研究科 博士後期課程
pp.222-226
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203709
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人体の構造は複雑だ.解剖学を勉強すると,筋肉,骨,動脈,神経等が人体の中で非常に精巧に組み合わされていることに驚く.そしてその一つひとつの部位に律儀に名前がついていることにも驚く.しかもそれを暗記しなければならないことにわずらわしさを感じた方も多いだろう.わずらわしさの背景には,構造自体が複雑で,数が多いというのももちろんあるが,名前を見てもその構造が想像しにくいというのも一因ではないだろうか.僧帽筋の「僧帽」とは何か,橈骨の「橈」とは何か,等の疑問が湧いてくる.こうしたことは学習する段階では深く考える暇がなく,多忙な臨床の中では,もはや振り返ることもなくなっているかもしれない.本稿では,そうした不思議について,少し立ち止まって考えてみることにしたい.
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