発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002038065
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29歳男.約1月前から誘因なく右肘周辺に疼痛が出現,2日後には母指のIP関節と示指のDIP関節の屈曲不能となり,加療されたが改善しなかった.右上腕内側上顆の近位約4cmの上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋間部に圧痛,Tinel徴候を認め,母指と示指に母指球部を含む知覚鈍麻を認めた.約4週間の保存的治療継続で症状に変化がないため手術を施行した.右肘内側上顆近位の圧痛点を中心に,円回内筋,浅指屈筋アーチ部を含め正中神経を展開すると,圧痛点にほぼ一致して深部尺側にわずかな陥凹を認めた.手術顕微鏡下に陥凹部の神経上膜切開を行ったところ,2本の神経線維束が2箇所で回内方向にねじれた状態となっていた為,ねじれの末梢側を切離し元に戻した上で神経縫合した.術後2ヵ月より母指,示指に力が入る感じを自覚,術後3ヵ月で示指DIP関節,術後5ヵ月で母指IP関節の屈曲が可能となった.術後18ヵ月軽度の痺れ感は残存するが原職に復帰している
©Nankodo Co., Ltd., 2001