特集 現代医学・生物学の仮説・学説
2.分子生物・遺伝学
翻訳とその調節
五十嵐 一衛
1
1千葉大学薬学部臨床化学研究室
pp.480-481
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900615
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概説
1960年代に入り,mRNA(メッセンジャーRNA)がDNAからの遺伝情報を蛋白質に伝える仲介分子であることが明らかになると,蛋白質合成(翻訳)に関与する分子が次々と同定された。すなわち,翻訳装置はリボソーム,mRNA,アミノアシルtRNA,開始因子,ペプチド鎖伸長因子,終結因子などの多くの因子が関与する超分子システム(非共有結合的な相互作用にもとづく生体制御システム)より成り立っていることが明らかとなった。
一般に遺伝情報発現の調節は翻訳レベルよりも転写レベルで行われることが多いが,翻訳レベルでの調節は転写を介しないために短時間で調節できる利点をもつため,近年真核細胞ではとくにその重要性がクローズアップされてきている。
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