わたしの大切な作業・第65回
書くこと読むこと歩くこと
田中 優子
pp.1111
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203529
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朝起きると、30分ほどの体操で身体をほぐし、1時間ほど近くの山を歩く。時には山の奥まで行って、江戸時代に作られた大日如来に手を合わせる。
このような習慣を持ったのは、大学の総長をしていた7年の間のことである。総長車での移動を余儀なくされ、度重なる会議で座りっぱなしになる。次第に調子を崩した。身体のこわばりは心の変調につながる。上に立つ者のそれは多くの人に影響を与えるに違いないと思い、まず、会議のない時は立っていることにした。総長室のデスクから椅子を追い払い、原稿は立って書いた。この習慣は今でも続き、この原稿も立って書いている。
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