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従来の前方支持型歩行器では,体幹の前傾や腰部や膝の屈曲姿勢での歩行が習慣化してしまうという指摘があった.この問題を解決する目的で,PCW(Posture Control Walker;後方支持型歩行器,図1)1)は,米国のノースカロライナ大学のJanet Wilsonにより開発された.PCWは,支持バーが側方と後方にあり,後輪はバックストッパーがついているので,後方に体重がかかってもうしろに倒れないようになっており,安定した歩行姿勢が得られる.そして,移動時には,後方の平行なバーが前方への移動を促す構造になっているので,結果として後ろから前方に使用者を押すことになる.さらに,使用者の体幹が不安定な場合には,pelvic stabilizerを取り付けることができる.サイズは幼児用から成人用まであり,前輪スリング四輪タイプ,四輪タイプ,二輪タイプの3種類がある.
クロコダイル(R82 A/S社製,図2)2)も,PCWと同様に,後方支持型歩行器である.特徴は,ハンドルの幅と高さが調節可能であり,軽量のアルミニウムフレームで製作されていて,各方向に移動するのに操作が容易であり,さらに色彩,デザインが非常に良い.また,パイプの接続部のネジがPCWと比較して少なく,スッキリしたデザインになっているので,人とすれ違ったり,狭い所を通る時などに対象物にネジ部がひっかかる危険は少ないように思われる.また,クロコダイルにも,スリングシートやソリッドシートが付属品としてついているので,疲れたらその場で腰掛けることができる,など数多くのオプションがそろっている.ただし,適応年齢は2歳から14歳と子ども専用である.総重量は5.5kgと6.5kgの2サイズがある.
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