特集 末梢循環障害と理学療法
リンパ浮腫に対するリンパドレナージ
ハートフィール 有香
Hartfiel Yuka
pp.1015-1021
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100699
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
リンパ浮腫とは,リンパ系の一部になんらかの障害が起こり発症する浮腫のことである.病期により4段階に分類されており(表1),単純性リンパ浮腫の特徴としては,例外を除き,片側性または非対称性で,無痛,足背や手背にまで腫脹が現れる,もともとあった皺が深くなる,皮膚色変化を来さない,蜂窩織炎を起こすなどが挙げられる.病因により一次性と二次性リンパ浮腫に分類され,一次性リンパ浮腫とは先天性または特発性リンパ浮腫などを指し,その多くはリンパ管,リンパ節などの発達障害に起因している.二次性リンパ浮腫とは術後,外傷後などに続発的に起こるリンパ浮腫のことを指し,主な原因としてリンパ輸送能力の低下が挙げられている(図1)1).どちらのリンパ浮腫に対しても,ドイツのリンパ浮腫専門病院であるフェルディクリニックで開発された複合的うっ滞除去療法(Komplexe Physikalische Entstauungstherapie:以下,KPE)を集中的に行うことで治療効果が得られる.本稿ではリンパ浮腫治療法の1つであるKPEを紹介するとともに,二次性リンパ浮腫を例に挙げ,それに対する実際のリンパドレナージを中心に,圧迫療法についても解説する.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.