一頁講座
リンパ浮腫
大熊 守也
1
1近畿大学
pp.992
発行日 1977年12月1日
Published Date 1977/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201832
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リンパ浮腫は今まで外科的治療が唯一の可能性であつた関係から皮膚科医がみる機会も少なく,認識も不足であつたが,立派な皮膚の疾患であり,皮膚科医が治療すべきものと考え,最近の新知識も含めて述べてみたい.
定義 組織内に組織液が貯溜した状態を水腫edema,皮下組織のみに同様な変化がおこつたものを浮腫anasarcaと呼ぶが,リンパ浮腫の場合は,リンパ水腫の意味で使用していることが多い.浮腫をおこす原因として,リンパ性,うつ血性,補空性,神経性,化学性,腎性,脚気性,悪液症性などが考えられる.リンパ循環に障害があつておこるもののみをリンパ浮腫と定義していたが,どのような原因であれ,もしリンパ系が正常に機能をはたしていれば,その浮腫は,リンパ管の機能亢進により除去されるという考えから,長期に持続する浮腫はすべてリンパ浮腫だと考える人が最近は多くなつて来た.
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