増刊号 急性期における疾患別作業療法
第4章 がん,NICUの作業療法
1 乳がん周術期作業療法の実際
加藤 るみ子
1
,
田尻 寿子
1
,
伏屋 洋志
1
Rumiko Kato
1
,
Hisako Tajiri
1
,
Hiroshi Fuseya
1
1静岡県立静岡がんセンター
pp.916-921
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203478
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乳がんの特徴
1.疾患の特徴
乳がんは女性に発症する代表的ながんである.2019年(令和元年)に新たに診断された部位別のがん罹患数では,乳がんは9万7,812人であり,女性の第1位である1).乳がんの5年生存率は92.3%と高く1),がんによる症状や治療等による後遺症,副作用と共存しながら生活している患者が多くなっている.
乳がんは女性ホルモンの影響を受けることから若い世代に発症しやすく2),40〜60代に最も多い(図 13))が,AYA世代(15〜39歳.adolescent and young adult:思春期・若年成人)においても,乳がんの罹患率は高く,30代女性の罹患率の第1位である1).この世代は,就労や家事,仕事等,社会的役割を多く担う世代である.患者が抱える生活背景や問題は個別性が高く,子どもの進学や親の介護等の周囲の変化の影響も受け,遷移しやすい.特にAYA世代は,就学,就労,結婚,妊娠出産,育児等,日常生活にさまざまなイベントがある時期であり,高齢がん患者とは違った問題を抱えることがある.例として生殖機能を有する世代における妊孕性の温存は,がんと診断されてから,がんの治療選択や治療中,治療後,すべての時期において直面し得る特有の問題である.
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