増刊号 こんなときどうする? 運動器の作業療法ナビ
第5章 合併症としての運動器の問題
1 運動器と内部疾患
熊野 宏治
1
Koji Kumano
1
1パナソニック健康保険組合 松下記念病院
pp.888-893
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203079
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運動器と内部疾患
運動器とは,身体活動を担う筋肉,骨,神経系等の総称である.内部疾患では筋肉量や質が問題となることが多い.内部疾患においての筋肉量や質の低下は,ADLやQOL,さらには生命予後1)に大きく影響を与える.わが国では超高齢社会の到来に伴い,呼吸器,循環器,消化器機能等に障害を抱えた内部疾患患者が増加傾向にある2).内部疾患の中でも呼吸器疾患や循環器疾患は,低酸素,酸化ストレス,低栄養,全身炎症等により,筋線維の置換や骨格筋萎縮が進行し,骨格筋量の低下にて,全身持久力低下,筋力低下等をきたす.全身持久力低下,筋力低下にはさまざまな要因が影響するが,呼吸器疾患や循環器疾患は活動時の呼吸困難による負のスパイラルが共通する特徴の一つとして挙げられる(図 1).この悪循環を断ち切るために,運動療法(全身持久力トレーニング,筋力トレーニング,呼吸筋トレーニング),セルフマネジメント,栄養療法,精神的サポート等のプログラムが構成される.今回は内部疾患のリハの中核となる運動療法と栄養療法の一部を述べる.
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