Japanese
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研究と報告
心不全症例の監視下運動療法による6分間歩行試験の改善に影響を与える因子の検討
A study of factors affecting improvement for the 6-Minute Walk Test by supervised exercise therapy in patients with heart failure
笠井 健一
1
,
橋本 伸吾
1
,
井波 志帆
1
,
熊野 宏治
1
,
進藤 篤史
1
Kenichi Kasai
1
,
Shingo Hashimoto
1
,
Shiho Inami
1
,
Koji Kumano
1
,
Atsushi shindo
1
1パナソニック健康保険組合松下記念病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation, Matsushita Memorial Hospital
キーワード:
心臓リハビリテーション
,
心不全
,
監視下運動療法
,
6分間歩行試験
,
片脚立位
Keyword:
心臓リハビリテーション
,
心不全
,
監視下運動療法
,
6分間歩行試験
,
片脚立位
pp.285-291
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202180
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要旨 【背景】心不全症例に対して監視下運動療法を実施することで6分間歩行試験(6-Minite Walk Test;6MWT)距離は改善するが,十分に効果が得られない症例も存在する.6MWT距離の改善と関連する因子は明らかにされていない.【対象と方法】対象は2014年6月〜2019年1月の間に心不全増悪で入院した82例のうち,退院時の6MWT距離が400m未満であった58例(男性32例,平均年齢72.9歳).退院後に監視下運動療法を150日実施した後に6MWTを再評価した.6MWTの改善距離が45m以上,45m未満の2群に分け,6MWT距離の改善と関連する因子の検討を行った.【結果】6MWTの改善距離が45m未満の症例であったのは25例(43%)であった.改善距離低値群(45m未満)は改善距離高値群(45m以上)と比較し,有意に高齢であり,腎機能が低下し,片脚立位時間が短縮していた.ロジスティック回帰分析では腎機能の低下と片脚立位時間の短縮が45m以上の6MWT距離の改善と関連していた.【結語】心不全症例の監視下運動療法による6MWT距離の改善効果が乏しい因子は,腎機能の低下と片脚立位時間の短縮であった.そのような症例には通常の有酸素運動を中心とした運動療法プログラムだけでなく,バランス能力を向上させるような運動機能面に対する運動療法プログラムが重要である可能性がある.
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