増刊号 こんなときどうする? 運動器の作業療法ナビ
第3章 運動器の作業療法実践
9 骨盤骨折患者の診方とアプローチ—保存療法における上肢機能の改善を中心に
有泉 宏紀
1
,
橘 巧也
1
Hiroki Ariizumi
1
,
Takuya Tachibana
1
1国立病院機構 甲府病院
pp.817-821
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203065
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脆弱性骨盤骨折の知識
高齢者の骨盤骨折の原因は大きく2つあり,若年者でも骨盤骨折をきたすような高エネルギー外傷と,骨粗鬆症を有する高齢者が転倒等の軽微な外傷により発生する脆弱性骨盤骨折(fragility fractures of the pelvis:FFP)がある1).FFPは多くの医療機関で遭遇する可能性があり,患者本人が殿部痛や腰痛を主訴に歩いて外来へ来院されることもある.
骨盤骨折は骨折した部位により寛骨臼骨折と骨盤輪骨折の2種類に分けられ,寛骨臼骨折は股関節の骨盤側に起こる関節部の骨折で,骨盤輪骨折は寛骨臼を除く骨盤のリング構造が壊れて安定性が失われる骨折である.いずれも単純X線検査で診断するが,構造が複雑であるためCTでなければ診断できない場合もある.近年増加傾向のFFPにはRommens分類2)があり,Type 1,2は転位がなく,Type 3,4では転位を認める.
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