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特集 スタチン投与後のレジデュアル・リスク
残存リスク改善のための糖尿病患者に対するアプローチ
The Approach to Diabetes Patients for Residual Risk Improvement
羽田 裕亮
1
,
山内 敏正
1
,
門脇 孝
1
Yusuke Hada
1
,
Toshimasa Yamauchi
1
,
Takashi Kadowaki
1
1東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科
1Department of Diabetes and Metabolic Diseases, The University of Tokyo Hospital
pp.871-878
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205786
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糖尿病治療の心血管イベントに対するスタディ
糖尿病は慢性的な血糖上昇を来す疾患で,それに伴い細小血管障害として神経障害・網膜症・腎症を来す.合併症は細小血管障害のみならず心血管疾患や脳血管疾患にもわたり,動脈硬化の一因となっていることが明らかとなっており,こうした合併症の抑制は糖尿病の治療目標の一つになる.「残存リスク」という言葉のイメージからは糖尿病による動脈硬化のリスクが軽度である印象を生じるかもしれないが,例えば欧米では糖尿病患者の40〜50%で心筋梗塞が直接死因となっており,また糖尿病であるだけで心筋梗塞の既往と同程度の心血管リスクとなっているなど,糖尿病の動脈硬化疾患に対するリスクは相当に大きいものであり注意を要する.
もともと1型糖尿病に対してはDCCT/EDICで細小血管合併症の抑制効果と初回心血管イベントリスクの低下がもたらされることが明らかとなっており3),2型糖尿病の細小血管障害の発症・進展の抑制についてはKumamoto Studyで明らかとなっている3).
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