講座 作業療法に必要なリスクマネジメントとフィジカルアセスメント・第2回
運動器疾患に対するリスク管理①―4大骨折を中心に
有泉 宏紀
1
,
大森 英功
1
,
佐藤 真一
2
Hiroki Ariizumi
1
,
Hidenori Ohmori
1
,
Shinichi Sato
2
1市立甲府病院 リハビリテーション室
2健康科学大学 作業療法学科
pp.403-408
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100487
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Key Questions
Q1.内科疾患の合併症で骨折の予後は変わるか?
Q2.糖尿病やがん等の合併症がある方への作業療法における注意点は?
Q3.骨折の治療で求められるリスク管理とは?
はじめに
近年,骨折受傷した患者の中に,糖尿病やがん,廃用症候群等,内科疾患等の合併症を背景にもつ患者が多く見受けられる.特に,高齢化に伴い内科疾患を合併していることが多くなっていると実感する.これらの患者は合併症のない患者に比べ,より個別の対応が必要である.その中で通常の骨折のプログラムを進めていかなければならない.すなわち骨折の治療だけにとどまらず,内科疾患の合併症を考慮した長期的な予後と経過を視野に入れた加療が必要である.また,骨折治療経過中に連鎖的に内科疾患や精神疾患が誘発,または潜在していた疾病が顕在化したりする場合もあり,全身状態の把握と管理が必要である.
今回は上腕骨近位端骨折,橈骨遠位端骨折,大腿骨頸部骨折,脊椎圧迫骨折の4大骨折の事例を提示しながら,治療を進めていく中で,何に注意しどんな情報を共有しながらリスク管理を行っていくのかを考えていく.
Copyright © 2014, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.