連載 症候学メモ・9
感覚と知覚
平山 惠造
1
1干葉大学神経内科
pp.912
発行日 1985年9月1日
Published Date 1985/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205580
- 有料閲覧
- 文献概要
◆感覚sensation と知覚percep—tion or senseとは字義の上では区別される。生理学的にも両者は一応分けられている。感覚とは針で刺されたときの痛みや,物が触れたときに触れたことを意識するなど,単純な要素的な刺激を認知するものである。知覚とは刺した針が太いか細いか,痛みが強いか弱いか,触れた物の表画が粗いか滑らかか,などそこに生じた感覚の性質の内容を識別したり,解釈や判断の加わったものをさしている。感覚と知覚とはこのようにして論理的には整然と区別される。
◆刺激が加えられて生じた感覚が健常に伝わらなければ感覚障害である。しかし実際に臨床の場は生理学の場とは異なって,我々は,患者の感じ方の量的,質的な異常さを,患者、が認知,判断,解釈した内容を通して,知ることになるので,知覚障害を検べていることになる。すなわち,理論的な感覚障害はあるが,診察では知覚障害として把握される。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.