FOCUS
新しい簡易感覚知覚閾値検査機器の原理と運用
湯浅 薫
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.285-288
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206393
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はじめに
わが国の糖尿病患者数は,糖尿病疑いも含めると2,000万人を超える1).糖尿病多発性神経障害(diabetic polyneuropathy:DPN)は,糖尿病の合併症中最も早期から発症し,種々の臓器障害や併発症の重大な促進因子である.DPNは糖尿病患者の直接死因として取りざたされることは少ないが,神経障害性足病変による下肢切断患者は,わが国では年間3,000例といわれている2).したがって,患者の生活の質(quality of life:QOL)の維持には,早期の治療介入が,改善と進行の抑制に重要である.しかし,DPNは糖尿病の診断時にすでに10%近くに認められる.またDPNの診断は,自覚症状やアキレス腱反射および振動覚閾値を用いた理学所見の結果が診断基準になって,総合的に判断がされる.実際に,患者が軽度の知覚低下を訴えることは少なく,理学所見に頼っているのが現状である.より客観的な診断をするためには,感覚神経検査を実施することが必要である3).
しかし,従来からの検査では時間を要し,糖尿病患者の全てに実施することは困難であった.そこで今回,簡易感覚知覚閾値検査機器による検査を経験したので紹介する.
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