Japanese
English
特集 疾患別 バランス障害に対する作業療法
脊髄損傷の座位・立位バランス
Sitting/standing balance of spinal cord injury
太田 皓文
1
Hirofumi Ota
1
1藤田医科大学
pp.407-411
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202958
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:脊髄損傷の座位・立位バランスにおいて損傷程度・損傷高位での違いは?
Q2:脊髄損傷における有効な座位・立位バランス練習とは?
Q3:バランス練習前後での不全麻痺者の変化とは?
はじめに
脊髄損傷の主な障害は,運動感覚機能障害であり,損傷程度により完全麻痺,不全麻痺に,損傷高位により四肢麻痺,対麻痺に大別される.損傷後3カ月程度の回復は大きいが,6カ月以後は小さいといわれており1),多くは生涯,障害とともに生きていくこととなる.
運動感覚機能障害は,バランス能力に影響を与え,活動制限や参加制約を引き起こす.バランスは,支持基底面上に身体重心を制御する能力であり,日常生活活動(以下,ADL)の基盤となる2).脊髄損傷者のバランス練習は回復期を中心に実施され3),バランス能力の改善が治療の目標となることが多い4).
バランス能力はすべての活動に必要だが,本稿では座位・立位バランスについてまとめた.具体的には,完全・不全麻痺を運動機能で分け,American Spinal Injury Association機能障害尺度(以下,AIS)によるA・Bを完全麻痺,C・Dを不全麻痺とし,損傷高位別に特徴をまとめ,その次にバランス練習の手法をまとめた.最後に,不全麻痺者1事例に対するバランス練習結果を述べる.
Copyright © 2022, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.