Japanese
English
研究と報告
ルール制御理論に基づく座位バランス訓練の有効性
Effect the sitting balance training based on the theory of rule governed behavior.
鈴木 誠
1
,
寺本 みかよ
1
,
山﨑 裕司
2
,
網本 和
3
,
卯津羅 雅彦
4
,
山本 淳一
5
Makoto Suzuki
1
,
Mikayo Teramoto
1
,
Hiroshi Yamazaki
2
,
Kazu Amimoto
3
,
Masahiko Uzura
4
,
Jun-ichi Yamamoto
5
1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
2高知リハビリテーション学院
3東京都立保健科学大学
4聖マリアンナ医科大学病院脳神経外科
5筑波大学
1Department of Rehabilitation Medicine, St. Marianna University School of Medicine Hospital
2Kochi Rehabilitation Institute
3Tokyo Academy of Health Science
4Department of Neurosurgery, St. Marianna University School of Medicine Hospital
5University of Tsukuba
キーワード:
応用行動分析学
,
ルール制御理論
,
運動維持困難
,
座位バランス障害
,
着衣障害
Keyword:
応用行動分析学
,
ルール制御理論
,
運動維持困難
,
座位バランス障害
,
着衣障害
pp.837-842
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109578
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はじめに
脳血管障害患者の座位バランスに影響を与える要因としては,①視覚,前庭迷路,体性感覚とそれらを統合する小脳,大脳基底核の障害に起因する失調症状1,2),②体幹および股関節周囲筋筋力3),③足底接地による支持基底面面積4)などが知られている.近年ではそれらの要因に加え,高次脳機能障害によるpusher現象が座位バランスの低下を引き起こすことが報告されている5).
Pusher現象とは,体幹を麻痺側の方向に強く押して倒れてしまう病態を言い6),motor impersistenceと関連が強く7),ADLを低下させる主要な要因の一つであるとされている9,10).しかしながら,Fisher11)による報告から現在に至るまで,そのリハビリテーション効果については報告がない.
今回われわれは,健側上肢で体幹を麻痺側へ押してしまう現象を立位において認め,また座位では時間経過とともに麻痺側に体幹が傾斜してしまい,着衣動作に介助を要した症例を経験した.本症例ではpusher現象と共にmotor impersitenceが認められ,視覚代償やリーチ訓練といった通常の座位バランス訓練では効果を認めなかった.われわれは応用行動分析学に基づくルール制御理論12,13)が,難治性の座位バランス障害に対して有効であるかを明らかにするため,シングルケースデザインを用いて検討を行った.
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