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Key Questions
Q1:定着支援センターがかかわる受刑者特有の課題とは?
Q2:刑務所に在籍するOTに求めることとは?
Q3:出所後も継続してOTにかかわってもらうには?
はじめに
地域生活定着支援センター(以下,定着支援センター)の相談員の多くは,社会福祉士や精神保健福祉士という福祉職である.福祉職とOTは支援を行う本人に対して,同じ「生活の安定」という目的や目標をもっていても視点が異なり,その最終目標までの過程での役割やかかわりが異なる.
福祉職はアセスメントし,支援プランをつくり,必要な支援をコーディネートする.「必要な支援者を集めてくる」という大きな枠をつくることはできるが,本人の課題解決のためのプログラム実施等といった具体的な治療を実施することはできない.そのため,その具体的治療を専門職(OT,心理師,医師等)に担ってもらえるように調整することを得意とする.
一方,OTは,初期評価し,治療計画をつくり,短期目標を設定して,その経過で介入し,再評価する.その再評価の中で,本人が目標に到達できない等の問題があれば,再目標設定を行い,再治療計画をつくるということを繰り返す.目標設定と定期的な見直しを本人と共に行い,何をすればよいのかを共に考え,気づかせ,行動することで,本人の能力を高めて目標を達成できるようにかかわることを役割とする.そのようなアプローチをできるのがOTの強みだと考える.また,OTがPTと異なるのは,OTが生活全般をリハすることを役割としており,本人の心理面や精神面を重要視してかかわっていることに違いがある.
定着支援センターが支援する人たちの中には,社会での生活を継続することが難しく,再犯を繰り返し,人生の大半を刑務所で過ごす人も少なくはない.言い換えれば,社会で安定した生活を継続するすべを身につけていれば,刑務所に行くことを防ぐことができる人が多い.そのため,定着支援センターの日々の業務を通し,生活全般の訓練が必要な対象者にはOTのかかわりが必要だと考える.なぜ,そのような考えに至ったのかについて,以下で論述する.なお,本稿では,紙幅の関係上,出口支援に焦点を当て,入口支援については,またの機会に論じたい.
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