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Key Questions
Q1:作業療法士が施設外訓練を行う意義は?
Q2:リスク管理と安全に配慮した施設外訓練とは?
Q3:退院後の生活を想定した施設外訓練とは?
はじめに
1990年代,厚生省(当時)は,進む高齢化に対し,在宅生活を支援するための保険(介護保険)の準備を開始した.同時に集中的なリハ医療によりADLを向上させ,介護保険適用以前に可能なかぎり要介護状態を軽減した状態で在宅復帰を推進するための病棟を全国に整備することが目標とされ,2000年(平成12年)に介護保険制度および回復期リハビリテーション病棟が同時に創設された.
その後も高齢化は進行し,団塊の世代が後期高齢者に入る2025年に備え,2008年(平成20年)の社会保障国民会議で医療・介護機能再編のシナリオが発表された.入院医療の機能分化と連携,および地域包括ケア体制の整備が2大目標とされ,入院医療と地域を結ぶ回復期リハビリテーション病棟の役割が一層重要となった.
リハ医療には,「早くよくして早く地域に帰し,地域で適切な支援をすること」が期待され,回復期リハビリテーション病棟には効果的・効率的な入院リハを行うための指標,すなわち「実績指数」が2016年(平成28年)に導入された.結果的に発症から入院までの日数,平均在院日数は短縮傾向にある.
しかし回復期リハビリテーション病棟は患者を地域に早く帰すだけが目的ではない.「住み慣れた地域へソフトランディング(軟着陸)させ,その生活をできるだけ長く継続させる」ための退院支援を行うことも重要である1).より実用的な地域生活をスタートするためには,病棟内にとどまらず,自宅内や屋外での活動性の向上が望まれる.
本稿では,住み慣れた地域への在宅復帰に向け,OTが施設外での訓練を行う重要性や必要性を,当院の取り組みと事例を通じて紹介する.
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